電磁加速(Electromagnetro Acceleration)とは、電気推進機の加速方式のひとつで電磁力J×Bによって推進剤を加速、排出する方式です。代表的なものにMPD Thruster、本研究のPPT、などがあります。
また、電磁加速の中でも、動作方式が定常or非定常であるか、J×Bに用いる磁場Bが外部磁場or自己誘起磁場であるか、などによってクラス分けされています。
その中でPPTは非定常&自己誘起磁場を用いるタイプにあたり、動作原理は次の図のようになっています。主放電によって電極間および回路に大電流が流れることにより、電流周りに磁場が誘起され、プラズマのある電極間にも磁場が形成されます。このとき、電極間にのみ流れる電流を考えると、電極間において内側では手前方向、外側では奥行方向に対照的に磁場が形成されますが、実際には回路の反対側の電流の寄与により、図のような手前方向の磁場が形成されることになります。この手前方向の誘起磁場と上向きの電流によって、電極間にあるプラズマはローレンツ力J×Bによって右方向に加速されます。
通常、自己誘起磁場方式で有効な電磁加速を得るには、かなりの大電流が必要ですが、PPTは非定常のパルス動作ですので、瞬間的(数μsec間)に数十kAの大電流を得ることができ、有効な電磁加速を得られるのです。