レーザー推進とは

宇宙用ロケットの開発・打ち上げには莫大なコストがかかります. そのような現状を打開すべくレーザーやマイクロ波などによってロケットを飛ばすビーミング推進(Beamed Energy Propulsion)の研究が進められています. レーザー推進についてですが,右の概念図のように地上にあるレーザー基地からロケットに向かってパルスレーザーを繰り返し照射し宇宙に物資を輸送するという技術であり, 機体が簡素な構造であることや推進剤が周囲の空気であること(空気吸い込み式),地上のレーザー基地が繰り返し利用可能であることから宇宙への物資輸送コストが 大幅に削減できるのではないかと期待されています.

先行研究としてはアメリカのL. Myrabo博士の打ち上げデモンストレーションが有名で, Lightcraftという独自に開発された機体のスケールモデルを71 m打ち上げることに成功しています.

レーザーによる放電現象と推力生成

レーザー推進において推力が発生するメカニズムについてですが,強力な出力をもつレーザーが集光されることにより, 気体が電離しプラズマが生成されます.そのプラズマがレーザーのエネルギーを吸収することにより, 気体は急激に加熱・膨張され爆風波が形成されます.レーザー推進ではその爆風波による圧力上昇を推力として利用します.

このレーザーによる放電現象において,右図のようにプラズマの電離波面は衝撃波を伴って超音速でレーザー照射源方向に向かって進展します. これをレーザー支持デトネーション(Laser Supported Detonation) といいます.この現象は未だに詳細には解明されておらず, この現象解明・モデル化に向けて研究を進めています.