東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 & 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻(兼担)
 
  • 小型固体スラスタ(Solid Microthruster)とは?? 
  小型固体スラスタ(Solid Microthruster)とは,燃焼室に搭載した固体の推進薬を燃焼させ,発生する燃焼ガスをノズルで加速しながら排出することで推力を発生させるスラスタです(右図参照).固体推進薬を用いたスラスタは,シンプルな構造で大きな推力を短時間で発生させることができるのが最大の特徴です.


  • 現在の研究内容


○キューブサット搭載用レーザ着火式小型固体スラスタ     
  キューブサットとは,一辺の長さが10cm程度の超小型衛星のことを言います.超小型であるゆえコストも低く,開発期間も短く,また相乗り衛星として複数個を同時に打ち上げることができるため,今世界中の企業や研究機関で注目を集めています.この超小型のキューブサットにスラスタを搭載することができれば,衛星の姿勢や
軌道を能動的に変えることができるようになり,利用の幅が格段に拡がります.
  本研究班では,半導体レーザを用いて固体推進薬を着火するという新しい手法を用いた小型固体スラスタを研究していす.レーザ着火のメリットは,①一つの着火器(レーザ)で複数個のスラスタを着火可能,②非接触の着火方式であるため安全性が高いこと,などが挙げられます.またスラスタ本体は,高温燃焼ガスの高速流れや,熱による浸食,高い燃焼室圧力に耐えうる構
造など,様々なことを検討しながら学生が1からCADソフトを用いて設計し
3Dプリンターを用い
て製作を行っています.


大気圏再突入用小型固体スラスタ
  小型衛星を宇宙空間から地球に帰還させるための小型固体スラスタの研究を行っています.小型衛星を地球に持ち帰ることが可能になれば,はやぶさに代表されるようなサンプルリターンミッションであったり,国際宇宙ステーションで行われている対流のない宇宙空間での様々な材料・試薬試験等を高頻度で行うことができます.また,宇宙空間に漂っている古くなった衛星や打ち上げたロケットのフェアリングなどの宇宙ごみ(スペースデブリ)を大気圏に再突入させ,燃やし尽くすことで除去するということも可能になります.