東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 & 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻(兼担)
 

研究/プロジェクト紹介

小泉研究室あるいは小泉が関わっている研究およびプロジェクトを,過去も含めて紹介します.

学術研究(基礎)とプロジェクト(応用)は車の両輪のようなもので,互いに情報を交換/共有することが工学には必須です.研究を元に新しいプロジェクトを生み出し,プロジェクトを元に良い研究を進めることができると考えています.このために,研究とプロジェクトを両輪として,宇宙利用開発に貢献できるよう活動していきたいとおもいます.
 
研究活動紹介
 

低電力小型イオンスラスタ

Miniature Ion Thruster小型衛星用のマイクロ波放電式超小型イオンスラスタの研究を行なっています.直径1 cmほどのイオンビームにより,200-400 μNの推力を発生させ,1000-1500 sの比推力を有します.全推進システムとして必要な電力は10-20 W,質量は3-5 kg程度であり,20-100 kgの小型衛星に適した推進系としての研究を実施しています. 詳細はこちら.柏で実験を行います.
 

無電極・電磁誘導加速スラスタ

将来的な有人の深宇宙探査に向けた100 kW-1 MW級大型電気推進の研究を行っています.本研究の電気推進は完全無電極下でプラズマの生成・加速を行い推力を発生させることを目的としています.絶縁容器内に生成したヘリコン波プラズマを外部から印加した高周波磁場よって加速させる(押し出す)方法で,原理的寿命のない次世代電気推進を実現させようとしています. 詳細はこちら.柏で実験を行います.
 

6自由度スラストスタンド(推力測定装置)

キューブサット搭載推進機の挙動把握のための6自由度スラストスタンド(推力測定装置)の研究を進めています.主方向の推力だけでなく,横方向推力や軸周りのトルクも測定することを目的としています.詳細はこちら本郷で実験を行います.
以前までは,キューブサット(10cm角を単位とした超小型衛星)に搭載可能な,水レジストジェットスラスタの研究も行っていました.液体の水を常温低圧下で蒸発させてスラスタヘッドに送り,スラスタヘッドにて100℃前後に加熱後排出して推力を得ます.比推力は70 s前後,推力は2-4 mNです.水を推進剤とすることで,安全性と取扱性を極度に高めた小型スラスタを実現します.

 

水ハイブリッドスラスタ

2000年代に超小型宇宙機が登場して以来,超小型宇宙機はその活躍の場を大きく広げてきました.近年では教育現場や技術実証への利用のみにとどまらず,超小型宇宙機がメインとなるようなミッションも多く提案されています.一方で,超小型衛星は体積,質量,電力等の利用可能リソースが大きく制限されているうえ,従来宇宙機に比較してより厳しい安全審査が課されます.超小型宇宙機に搭載可能な超小型推進機は希少であり,特に化学推進に代表されるような大推力推進機は,その危険性から実証されたものは皆無です.そこで当研究班では,“安全“に“大推力を発生する“超小型化学推進機の研究・開発を行っています.安全性は使用する推進剤(酸化剤と燃料の組み合わせ)に大きく依存します.当研究班では酸化剤に水を,燃料にマグネシウムまたはアルミニウムを利用することで高い安全性を実現しています.詳細はこちら
 

水ホールスラスタ

次世代小型宇宙機用の推進機として,水を推進剤とする低電力ホールスラスタの研究を行っています.直径数 cmの円環状チャネルで水蒸気を直接プラズマ化し,電磁場の相互作用でイオンビームを生成します.100 W級のシステム電力で,地球静止軌道から月以遠への軌道遷移を目標に研究を行っています.高い安全性を兼ね備えた,100 kg級宇宙機向けの主推進系を目指します.詳細はこちら.柏で実験を行います.
 

小型固体スラスタ

キューブサットにも搭載可能な超 小型推進系の研究を行なっています.小分けにした小さな火薬を半導体レーザーにより着火させていくことにより推力を得ます.比推力は100-150 sと電 気推進に比べて低いですが,レーザ着火と固体推進薬を用いたシンプルな構成により,キューブサットクラスへの搭載が可能な推進系です.また,短時間で大き な推力を得ることができます.詳細はこちら.本郷で実験を行います.