ホールスラスタ実験
アノードレイヤー型スラスタUT-58
マグネティックシールディング(MS)

放電振動の低減
ホールスラスタ研究では、スラスタの軸対称の構造的な特徴から、周方向のプラズマ特性は普段均一と仮定されてきました。だが、実際には周方向での非一様性は存在しており、過去の研究では推進剤供給においてその非一様を強制に高めることによって、放電振動振幅が収まる効果があることを確認しました。本研究では、周方向のプラズマ特性の実験的また数値解析的な研究を通して、非一様性による放電振動抑制のメカニズムやホールスラスタにおける放電振動不安定問題を解決するための方法に取り組んでいます。

代替推進剤の検討

- Bak, J., Hamada, Y., Hirano, Y., Komurasaki, K., Schonherr, T., and Koizumi, H., "Operational Properties of UT-58 Anode Layer Hall Thruster with Modified Magnetic Field and Guard-ring Material," 52nd AIAA/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference, 2016, pp. 1-10.
- Fukushima, Y., Yokota, S., Komurasaki, K., and Arakawa, Y., "Discharge Stabilization for an Anode-Layer-Type Hall Thruster by Azimuthally Nonuniform Propellant Supply," Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, vol. 58, 2010, pp. 8-14.
- Fujita, D., Kawashima, R., Ito, Y., Akagi, S., Suzuki, J., Schonherr, T., Koizumi, H., and Komurasaki, K., "Operating parameters and oscillation characteristics of an anode-layer Hall thruster with argon propellant," Vacuum, vol. 110, 2014, pp. 159-164.
HET Simulation
本研究室では粒子モデルとハイブリッドモデルを主に取り扱っています。
Hybrid models
上記の特徴から、HESを用いたハイブリッドPIC法は、ホールスラスタ放電の基本特性を再現することができると期待されます。
Electron fluid equations in HES approach
\begin{equation}
\frac{n_e}{\beta T_e}\frac{\partial \phi}{\partial \tau} + \nabla\cdot(n_e\,{\bf u}_e) = 0 \end{equation}
\begin{equation}
\left ( \begin{array}{ccc} b_x & \\
& b_y \end{array} \right )^{-1} \frac{\partial (u_{ez})}{\partial \tau} - [\mu] \nabla \phi = - u_e
\end{equation}
- R. Kawashima, K. Komurasaki, T. Schonherr, "A flux-splitting method for hyperbolic-equation system of magnetized electron fluids in quasi-neutral plasmas," Journal of Computational Physics, Vol. 310, pp. 202-212, 2016.
- R. Kawashima, K. Hara, K. Komurasaki, H. Koizumi, "A Unified Model for Axial-Radial and Axial-Azimuthal Hall Thruster Simulations," AIAA Propulsion and Energy, Salt Lake City, UT, July 25-27, 2016.
- R. Kawashima, K. Komurasaki, T. Schonherr, "A hyperbolic-equation system approach for magnetized electron fluids in quasi-neutral plasmas," Journal of Computational Physics, Vol. 284, pp. 59-69, 2015.
- R. Kawashima, T. Schonherr, K. Komurasaki, "Modeling of Electron Fluids in Hall Thrusters Using a Hyperbolic System," AIAA Propulsion and Energy, Cleveland, OH, July 28-30, 2014.
Kinetic models


- S. Cho, K. Komurasaki, Y. Arakawa, "Kinetic particle simulation of discharge and wall erosion of a Hall thruster," Physics of Plasmas, 20, 063501, 2013
PPT Experiment
What are difficulties of Solid Propellant PPT?
機構の簡便性、またそれに起因する軽量性により小型衛星の主推進として活躍が期待されるPPTですが、問題点も存在します。固体推進剤であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いるPPTには以下の様な問題点があります。
1. 放電終了後も熱くなった推進剤表面から推進剤が供給されてしまう(レイトタイムアブレーション).
2. 排気されたPTFE中の炭素やフッ素が衛星の他の部分に付着し悪影響を及ぼす(コンタミネーション).
3. 推進剤が不均一な消費を起こす(推進剤の片減り).
1.の問題はPPTの効率を下げている主要因の一つとして考えられているものです.主放電終了後に供給された推進剤は電気的な加速を受けず気体力学的な加速しか受けないため、十分に加速されないまま排出されてしまいます.
2.の問題はPPTの推進性能には影響しませんが、ミッション内容によっては非常に重要となってきます。黒い炭素がこびりついたり反応性の高いフッ素がこびりつくことによって衛星の他の部分、コンステレーションの場合には他衛星に悪影響を及ぼす可能性があります.
3.の問題はPPTが受動的な推進剤供給機構となっているために起こる問題です。PPTは推進剤表面から推進剤が昇華し,その分後ろから推進剤を押しだす供給機構となっているのですが,実際には表面上で均一に消費しないのです.
Liquid Propellant PPT

液体推進剤PPTの模式図
液体推進剤PPTの固体推進剤PPTとの大きな違いはその推進剤供給機構です。液体推進剤PPTはタンクの中に蓄えられた液体を噴射器を用いて微少量投入し、それとタイミングを合わせてイグナイタを点火します。液体推進剤PPTは、固体推進剤PPTには無いいくつかの特長を持っています。その特長とは
1. 推進剤を噴射器で能動的に供給する機構のため、レイトタイムアブレーションの問題を回避できる。
2. 同様に推進剤の片減りの問題も回避できる。
3. 水は大抵の場合衛星の他の部分に無害であるため、コンタミネーションの問題も回避できる。
このように液体推進剤PPTには固体推進剤PPTの抱える問題点を解消できる可能性があるのです。しかしながら、当然真空化で液体を扱うことや、噴射器の設計が難しいこと、水をプラズマ化するのが難しいことなど液体推進剤PPTにも多くの問題点があり、私たちは日々その解決策を探っています。
Develpment of High Performance PPT for Lunar Mission BW-1
柏のPPT班では月探査衛星プロジェクトBW-1の主推進系としての搭載を目指し高性能固体推進剤PPTの研究を行っています。このPPTはIRS(Institute of Space Systems)によって開発され、本研究室においては主に内部現象の解明を行っています。
このPPTは実験により放電回路パラメータ、電極形状の最適化が行われており、比推力およそ2700秒というこのエネルギークラスのPPTとしてはかなりの高比推力を達成しています。特徴としては、フレア角を持つ先細三角形電極、複数キャパシタ、Side-fed型であることなどです。
本研究室ではこの研究や、他の研究のためドイツシュツットガルト大学より研究留学生を迎え入れています。彼らが日本語を勉強する一方で、私たちは英語で活発な議論を日頃より行っています。
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ADD SIMP-LEX | Lunar Mission BW-1 |
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